お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「どう、して……」


「驚いたじゃろう?」


手を引かれ、一緒にリムジンから降りたおじいちゃんは右隣で愛おしいと言わんばかりに目の前を見つめる。


「ここは美都の、大好きな場所だからな」


「そうですね」


十夜さんも左隣で目を細めてとびきり穏やかに笑っていた。


「もう、とっくになくなったと思ってたのに……っ」


「なくすなんて絶対にさせない。美都が育ち、過ごした、美里と圭人さんの3人の行きた証がすべて詰まった場所だからな」


涙を必死に拭って、忘れもしない大好きな場所を見据える。


「お父さんのお花屋さん……っ」


そう。

私が連れてこられたのは。


私が皇家に来る前に住んでいた家。

つまり、私と両親の3人で暮らしていた家で。


その裏側にお父さんが営むお花屋さんがあった。


でも両親が他界して、私もいなくなった今、てっきりお店は取り壊されてると思ってたのに。

どうして……


「どうして前の……お店が開いていた時みたいにお花があるの……?」