お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「ふんっ!
どうせ美都とイチャコラしてるんじゃろ?」


「なっ、なにいってるのおじいちゃん!」


ふんっと鼻を鳴らし、そっぽを向く。


い、イチャコラ……

まあそんなこともたまーにあるけど……


「大丈夫です。
まだ手は出してませんから」


「は?
その言い方だと、これから出すみたいな言い方に聞こえるが?」


「どうでしょう?
まあでも安心して下さい。私が欲しいのは、気持ちですから」


「当たり前じゃ」



さっきから何を話してるのかさっぱり分からない。

けど私に関することは確かなよう。


「着いたようじゃな」


それからしばらくしてリムジンがとまった。


「お嬢様」


すると横から急に真剣な声が飛んできた。


「最後に。
旦那様と私からのプレゼントです」


「え……?」


同時にリムジンのドアが開かれ、十夜さんは先に降りて私を待つ。


「おいで」


どんなスイーツよりも甘い声に引き寄せられるようにリムジンから顔を出した瞬間。


パッと目の前の建物に明かりがついて。


「う、そ……」


驚いたのはデートと花火を含めて今日で三度目。

でもそれを遥かに超えるほど、目の前の光景が信じられなくて。


私の目からはふたたび、大粒の涙が流れ落ちた。