お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「ありがとうございます、十夜さん。
私、あなたのおかげでこれ以上にないくらい幸せです」


一瞬驚いたようだったけれど、すぐにふっと笑って目の前に来ると甘い視線を向けてきた。


「良かったです。喜んでもらえて」


「はい、とっても。
こんなに心から幸せだと感じたのは本当に久しぶりです」


「でも私はこれからも、今よりももっと……もっともっと。お嬢様を幸せにするつもりです」


「え、それはどういう……」


「さて。どういう意味でしょう?」


ドキッとして見上げれば、いじわるに微笑む十夜さんの顔が。


「いじわるですね、十夜さん」

「ふふっ、お嬢様の反応が可愛いすぎなんです」


ムッとすれば、ふはっと噴き出すばかりで。


もうっと言いながら、私は未だ花火が打ち上がりつづける外を眺めた。


お父さんお母さん。


最高の誕生日だよ。

まだ騒いでいる紗姫たちを見ながら、心の中でそっとつぶやいた。