お嬢様、今夜も溺愛いたします。


「美都……」


よしよしと背中をなでてくれる紗姫。


大好き。

何も言えないくらい、大好きでたまらない友達。


こんなに幸せな誕生日ってない。


「おーい、美都ー
そろそろ離れた方が……」


「もうちょっとだけ……」


「いや俺も嬉しいのはやまやまなんだけど、アイツらがやばいっていうか……」


深刻そうな紗姫の声にさすがに渋々離れると。


「と、十夜さん?おじいちゃん?」


2人は紗姫のことをこれでもかと睨んでいて。


「おい八神お嬢様。
俺のお嬢様に抱きつくのはやめてもらえます?」


「美都。この男は美都の彼氏かなにかなのか?」


「ちょっ、十夜さん!
敬語なのに俺って言っちゃってます!
それにおじいちゃんも、紗姫は女の子だから!」


紗姫は今ビシッとスーツ着ちゃってるから、勘違いしてもおかしくない。


「おい美都、俺は確かに女だけど、男だぞ?」


「ど、どういうことだ美都!?」


「落ちついておじいちゃん!!
界さんもなに泣いてるんですか!?」


「だ、だって、美都ちゃんの泣いた姿見たら感極まっちゃって……」

「なんでお前が泣く」


あーっ、もう!!


はぁっとため息が出たけれど、私の口からは笑みがこぼれていた。


幸せと嬉しさで胸がいっぱいすぎて。


紗姫も、界さんもありがとう。

おじいちゃんもお仕事で大変なはずなのに、来てくれてありがとう。


そして。


「どうかされました?お嬢様」


不機嫌ながらにも、ぐすぐす言ってる界さんにそっとハンカチを差し出す十夜さん。