「せっかくうちに来たのに、あの日以来会えなくてすまんかった。だが、どうしても今日は祝ってやりたくてな」
「なんとか仕事を終わらせてきたんだ」と。
私の前に来ると、これ以上にないほど優しい目で頭をなでる。
「17歳の誕生日、おめでとう美都。
わしはお前がまたこの日を無事に迎えられて本当に嬉しいよ」
「おじいちゃん……」
だめ。
泣いちゃう。
色んな気持ちが重なって、抑えきれない涙がぽろぽろとこぼれてくる。
「美都、誕生日おめでと!」
「美都ちゃん、おめでとう!!」
うそ……
落ちてくる涙を拭って顔をあげれば、整った格好をした2人が笑顔で駆け寄ってきた。
「紗姫?界さん……?」
「驚いた?
黒木から聞いて、3人で美都をお祝いしようってなって」
「そうそう!
可愛い美都ちゃんのお誕生日だからね!」
「おい。可愛いはやめろ」
「なによ、こんな時くらいいいじゃない」
「だめだ。言っていいのは俺だけ」
「こんな時まで言い合いしてんじゃねーよ、ったく……美都、本当におめでとう」
照れくさそうに、でもちゃんと目を見て言ってくれた紗姫。
「ううっ、紗姫ぃぃぃーーっ!!」
ベソベソ泣きながらもあまりに嬉しくてガバッと紗姫に抱きつく。



