お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「きゃーっ!!
すっごい高さですね!」


まず最初に来たのは、遊園地に来たならまずはこれ!!ってやつ。


「お嬢様は高いところはお好きで?」


「嫌いじゃないです。
むしろ、結構好きな方です!」


乗る順番が回ってきて、コースターに乗り込み上から安全レバーを下げる。


「へぇ……だったら心霊系などはどうでしょう?」

「し、心霊系、ですか?」


ニヤリと笑う顔に、ギクッとなる。


「はい。
ここ、有名なお化け屋敷があるので有名らしいんです。後で行ってみませんか?」


ガガガと音を立てて上へ上へと登っていくコースター。

きっとその音ともに私の顔も引きつってるに違いない。


「も、もちろんです!
受けて立ちますよ!」


ぎゅっと拳を握り締めてウンウン頷く。


「ふふっ、気合いも十分なことですし、後で行きましょうね」


楽しみですねと十夜さんが言った瞬間。


「ぎゃぁぁぁーーーっ!!」


ものすごい高低差の中落ちていく私たち。

風がバンバン顔に打ちつけて、ぐるりと360°一回転。


それでも頭の中はこの後のことでいっぱい。


なんで行けるとか言っちゃったんだ、私。


お化け屋敷なんて、大の苦手なくせに。

テレビで心霊番組やってたら光の速さでチャンネル変えるし、少しでもそんな話をしてる人がいたら耳を塞ぐレベル。

つまり、体が拒否反応起こすくらいだめってこと。

こうなったら腹を括って行くしかない!

もしかしたらそんなに怖くないかもしれないしね!


またもやぐるんと一回転した真っ青のそらのしたで私は強く意気込んだ。