お嬢様、今夜も溺愛いたします。



差し出されて取ろうとしたお皿がすっと遠ざかる。


「どうしました?」


ベッドに腰かけた状態で黒木さんを見上げた瞬間。


!!?


すっと首筋をなぞられた。


「な、なにを……っ」


「期待、しました?」


穏やかな空気から一変。

黒木さんの纏う雰囲気が、さっきみたく鋭く妖艶なものになる。


「な、なにがですかっ……ん、ふっ…」


なでていた指はそのままゆっくりゆっくり鎖骨へと移動していく。

その度にくすぐったさに、全身に甘い何かが駆け抜けていくみたいで。


声にならない声が、自然と漏れてくる。


「先程私がネクタイやボタンを外していたとき。お嬢様はどんな目で私を見ていたか分かりますか?」


「わ、分かりません……っ」


めまいがしてきて潤んだ目で見上げれば、黒木さんはクスッと不敵に笑った。


「ならば教えてさしあげます。
お嬢様、嫉妬のお時間です」