お嬢様、今夜も溺愛いたします。



「声を誰にも聞かせたくないって言うのは?」


「もちろん、大好きな抹茶ケーキに悶えるお嬢様の可愛い声など、私以外が聞くなどありえませんから」


な、なるほど………

再びガクッと項垂れる。


「お嬢様?なぜだかすごく疲れた顔をなさっておりすが、どうなさいました?」


「な、なんでもないです……」


どうしたもこうしたもないよ。

あんな熱っぽい瞳で見てきたり、愛おしいと言わんばかりの手つきでさわってきたくせに。


勘違いしないほうがおかしい。

ずっと緊張していた分、今になって、どっと疲れが襲ってきた。


「それになんだか残念な顔をなさっておりますし……」


「し、してないですから!!」


確かに残念ではあるけれど、ホッと安心したような、これで良かったような、不思議な気持ち。


「お疲れのようでしたら、今夜はお召し上がりになるのはやめておきますか?冷蔵できますし」


差し出されたお皿の上には今にもよだれが出そうなほどおいしそうな抹茶ケーキ。


「いっ、いただきます……」


せっかく作ってくれたんだし、もうここはやけくそだ。

食べて食べて食べまくって、綺麗さっぱり忘れてやる!!


「じゃあ、いただきま───」


「お待ち下さいお嬢様」


「え?」