涙に逢うまでさようなら

二月の試験祭りが終わったあとは早かった。

試験が終わったという安心感とともに、周りの会話がこの先のことで持ち切りになっていることに対し

なっちと二人優越感を感じているうちに、卒業という学生生活の中で最も大きな行事がやってきた。

卒業式当日の服装は迷ったが、なっちとともにスーツで出席した。

女性では袴や振り袖で出席する人が多くいたが、なっちと二人、「スーツというのもビジネス専門学校らしくていいだろう」と思考を落ち着けた。


大翔からの電話で起こされたのは、卒業式が終わった一週間ほどあとのことだった。

久し振りだなと思うと同時に電話なんて珍しいなと思いながら、画面に浮かぶ通話の文字に触れ、携帯を耳に持っていく。

「もしもし」

「ああ、美紗?」

「どうした?」

「ちょっと……来てくれないかな」

「どこに?」

「俺の家」

「うん、いいよ。えっ、なにかあるの?」

「ちょっとね……。とにかく、なるべく早く来て」

大翔は「待ってるから」と続けると、一方的に電話を切った。

ツーツーとつまらない音を鳴らし続ける携帯を耳から離し、画面に浮かぶ通話終了の文字に触れ、画面を切ると部屋着の上に羽織るパーカーを求めて部屋を出た。