涙に逢うまでさようなら

勉強開始から間もなく、わたしの集中力はゴールテープを切ろうとしていた。

小学生当時のわたしと同様、集中力も走りにだけは自信があるのだろう。

わたしはノートと教科書を広げた机に体を預けるような体勢でため息をついた。

力が抜けた右手から黒いシャーペンが逃げ出す。

体が清涼菓子を求めている。

しかし、特に残りが少ないわけではなかった清涼菓子も、少し前になくなった。


「飽きた?」

大翔の声に、「集中力持続薬とかいうハイなテクノロジーの塊とも言えるようなものは存在しないか?」と返す。

「集中力持続薬……。欲しいような欲しくないようなって感じの代物だね」

大翔は手を動かしたまま答えた。

「要らないのか?」

「集中力がもっと欲しいというのは勿の論なことなんだけどね。ただ、あまり集中力があると食事とか生活に必要なことさえ忘れちゃう気がしてね」

「現実的だなあ、君は」

わたしはため息まじりに「飲み物を買ってくる」と残し、席を立った。