なんなんだ、この感情は。



「どけ、リズ」

「い、嫌です…。どければアルさまは、コハクくんを斬るんでしょう?」

「当たり前だ!その男が何をしたのかわかっているのか!?」

「彼は、依頼されていただけです!今は、もう…!」

「許せというのか?依頼されていたからと言って、その男がしようとしたことは消えん」

「それは…」



一番リズがわかっているはずだ。
怖ろしい思いをしたのはリズ自身だ。

それなのに、その男を庇いだてるというのか。
頑なに、男の前から動こうとしないリズ。



「…もういい。お前の気持ちはよくわかった」

「アルさま…」

「お前も所詮、他の奴らと一緒だ。簡単に俺を裏切る」

「裏切ってなんて!」

「黙れ。言い訳など聞きたくない。お前の顔をもう見たくない。さっさと城から消えろ」

「アルさま……」




零れてくる冷たい言葉。
止まらないその言葉が、リズを傷つけていく。

わかっていて止められなかった。