「庶民だからと粗探しをする人は必ずいるわ。頑張れば身につけられることでとやかく言わせたくないのよ」



それは、私のためにと思っていてくれている口ぶりで驚く。
すっかり、呆れられてしまったと思っていた。

そこまで考えてくださっていたなんて。



「ありがとうござます。メアリ先生」

「これが、私の仕事なのです。貴方を王妃として相応しくすることが」



そう言ってメアリ先生は笑った。
とても、素晴らしい先生に巡り会えたと思う。
それはきっと、アルさまのおかげで。


「私、頑張ります!」

「張り切りすぎないように。品良くお願いしますよ」

「は、はい…!努力します…」



品良く…。
候補者選びの時、他の候補者の方…特に王女さまであるシイナさまから滲み出ていた気品。
立っているだけで存在感があって上品で、淑やかで。

私がああなれるかと思いを巡らせる。
なれる気がしない。

それでも、頑張らなくては。