きみとなら、雨に濡れたい




少し湿っぽくなった雰囲気を変えようと、俺は戸棚からお菓子を持ってきた。それらをテーブルに広げて、俺はいつものように美憂の話の聞き手に回る。


「この前、妹とね電車に乗って出掛けたの。そしたらふたりとも居眠りしちゃって」

美憂が家族を大切にしていることは分かっているけれど、やっぱり妹の話をしている美憂が一番楽しそうに見える。


「本当に仲がいいよね」

「今度紹介するよ。絶対に気が合うと思うな」

「だといいけど」


そんな会話をしながら美憂が思い出したように「あ、そうだ!」と声を出す。


「私がこの前持ってきたアップルティー残ってる?」

俺が絶対に選ばないものを美憂は度々持参してはそのまま置いていくことがクセになっていた。


「台所に置いてあるよ」

美憂が淹れてくれない限り自分で紅茶なんて飲もうとは思わないし。


「ちょっと用意してくるね」

そう言って美憂は部屋を出ていった。


通り雨だと思っていた雨はいつの間にか本降りへと変わっていた。

……天気予報ハズレじゃん。あのままサイクリングに行かなくて正解だった。

そんなことを思いながら、ふと美憂が座っていた場所を見ると、なにかが落ちていた。


拾い上げて確認すると、それは透明な正方形のケース。中は仕切りで六つに分けられていて、形がそれぞれ違う薬のようなものが入っていた。


……こんなに、なんの薬?

疑問に感じたところで、美憂がおぼんにティーポットとティーカップを持って戻ってきた。