きみとなら、雨に濡れたい




「小暮、お前も交ざるか?今からコイツの洋服全部脱がすんだよ」

ケラケラとしている菅野や男たちを小暮は軽蔑した目で見ていた。


「そんなことしたらどうなるか分かるだろ、やめとけよ」

「は?俺に指図してんの?」

「うん」

私の知っている小暮はこんなヤツじゃない。


道徳心は持っていても正義感はないし。ましてや菅野ひとりじゃないこの状況で自分が不利になるようなことは言わない。小暮はそういう頭のいいヤツだったはずだ。


「つか、なんで小暮が柴田を庇うの?もしかしてお前らできてんの?」

「だったら?」

「ふ、はは。まじか!根暗同士超お似合いじゃん!」


菅野はこっちの話題のほうに食い付いて、あっさりと私から離れた。


「あーいいこと聞いた。早速みんなに言いふらすわ」

そう言いながらこの場を去っていく。


菅野たちがいなくなって、空間には私と小暮だけになった。10分間くらい雨に晒された私の洋服はびしょ濡れで、フードから出ている前髪からぽたぽたと滴が垂れていた。

そんな私を見て小暮は自分の持っていた傘を私へと傾ける。


「とりあえず屋根があるところに行こう」

……なんなの。全然頼んでないっていうのに。


「いらない」

私は傘を持つ小暮の手を払った。


「べつにアンタが来なくても自分でなんとかできたから。あんなの怖くもなんともないし、助けてくれなくなって……」


「いい加減にしろよ!」

小暮の大きな声に肩がビクッとなった。

小暮は大きなため息をついて、「いいから来て」と無理やり私の手を掴む。引っ張られるように前に進む足。


予想以上に小暮の手は大きかった。