きみとなら、雨に濡れたい




身体が拒絶するように気持ち悪くなったのは初めてだった。

いつもいつだって『生意気だ』『目付きが悪い』って言われてた。だけど女だからとなめられたくなくて、心だけは平静でいた。

それなのに……。


「はは、いいこと思いついた」

私の弱点を見つけたかのように菅野の口元がゆるむ。


「俺をバカにした罰で、お前の裸の写真をみんなにばらまいてやるよ。そしたら女か男か性別がはっきりするだろ?」

菅野は「お前らも手伝え」と男たちを煽る。面白そうだとやる気になった三人はじりじりと私に詰め寄ってきた。

後退りした先にはブロック塀。


『とにかく、もう菅野を刺激すんなよ。なにかあってからじゃ遅いだろ』

アイツの言葉が頭に浮かんだ。


逃げ場のない空間で三人が私を取り押さえようとすると――。


「なにしてんだよ」


雨音に混ざって飛んできた鋭い声。


ああ、なんでだろう。

別に呼んでもないし、助けてほしいわけでもないのに、なんで現れるのは小暮千紘なんだろうか。


小暮はとても険しい顔をしていた。怒っているのだと感じた。こんな表情をする人なんて……ビックリだ。


「なんだよ、またお前かよ」

菅野は小暮を見て慌てる様子もなく笑った。


当然だ。だって小暮ほど平和主義なヤツはいない。

いつも傍観者。いつも蚊帳の外。喧嘩なんてしたことがないただの村人B。