きみとなら、雨に濡れたい




苛立ちを抑えるために私は冷蔵庫を開けた。空腹を満たせば少し落ち着くと思ったのに、冷蔵庫の中身は牛乳と使いかけのハムだけ。

……これじゃ、なにも作れない。


また外に出るのは億劫(おっくう)だったけれど、私は仕方なく出掛けることにした。

行き先は普段から利用している小さなスーパー。履き慣れているスニーカーに、パーカーのフードを深く被り、コンビニの傘を右手に持つ。


『もう、どうして和香ちゃんはそんな男の子みたいな格好ばかりするの?』

美憂の声が聞こえた気がした。


それはね、美憂と同じ服なんて着れないからだよ。

フリフリのワンピースに可愛いリボンをつけているお姫さまはひとりいれば十分でしょ。


スーパーまであと少し。今日の晩ごはんはなににしようか頭で献立を考えていると……。


「おい」

誰かから声をかけられた。

振り向くと、そこには菅野と見知らぬ男がふたり。


「コイツだよ。生意気な女っていうのは」

菅野が指をさしながら男たちに説明していた。


たぶん男たちは他校の人だと思う。ガムをクチャクチャと噛みながら「へえ、男みてーじゃん」と、見下してくる目が癇に障る。