週末を挟んで月曜日。
ただでさえ一週間のはじまりは憂鬱だというのに、学校に向かう足どりはさらに重い。
この2日間俺は想いをめぐらせるように美憂と映画館や遊園地に遊びに行った出来事を思い出していた。
楽しかった。今までで一番と言えるぐらい。だから俺はそんな日々が何事もなく続くと思ってた。
『……ごめん、千紘くん』
俺に打ち明けた時の美憂の顔が今でも忘れられない。
そんな不安定な気持ちを悪化させるように1限目はクッキーを作る調理実習の授業だった。まるで誰かが示し合わせたかのようだ。
本当に、勘弁してほしい。
どうやら各自エプロンだけは用意するように言われていたらしいけれど、上の空だった金曜日の俺を考えれば当然聞いているはずがないことだった。
エプロンは家庭科の先生に貸してもらえた。
調理は六つあるキッチンでグループごとにやるそうで、俺は柴田と同じ班。席順だから仕方ない。
大体調理実習は女子が率先して男子は手持ちぶさたになるもの。いつも仕切っているクラス委員の女子が同じグループだったから、その人が中心となってやると思いきや……。
「ちょっと早く卵割ってよ」
予想外に柴田がグループを回していた。