きみとなら、雨に濡れたい




この一年で俺たちの距離はかなり近くなった。
誰にでもフレンドリーな美憂だけど、俺以外の男の家には出入りしたりしないし、期待をさせるようなこともしない。

つまりはきっと、俺は期待をしてもいいということなのかもしれない。


正直、俺に美憂は高嶺の花すぎると思う。

仲がいい俺たちを見て実際に男女問わず『なんで小暮なんだろう』という声は多い。


俺もそう思う。

なんで美憂は俺なんだろう。


だけど、声変わりが終わり、身長もこの一年で15センチも伸びて、ぶかぶかだった制服はいつの間にかピッタリになった。

俺は決して男らしいとは言えないけれど、隣を歩いても恥ずかしくないレベルに、やっとなれたかなと思っている。


「お、俺と付き合ってください」

大事な場面で噛みそうになった俺を見て美憂がクスリと笑う。


「はい」

返ってきた二文字の返事。照れたように「千紘くん、これからもよろしくね」とはにかむ美憂を、俺は一生守っていこうと決めた。



――ガタッ。

俺は外の物音で目を覚ました。

ベッドの上にいるのは高校一年の俺であり、ここはまた美憂のいない世界。


「はあ……」とため息をついて天井を仰ぐ。


一生守ると決めたはずだったのに、俺は結局守ることもできずに、美憂から与えてもらったものをなにひとつ返せていない。


……ぽた、ぽた。

外の雨音を聞きながら、俺は現実逃避をするようにタオルケットを頭まで被る。


やっぱり俺は、最高の臆病者だ。