きみとなら、雨に濡れたい




家に着いた俺はすぐにベッドへと倒れこんだ。
雨どいを伝ってくる雨音と同時に聞こえてくる美憂の声。


『千紘くん、千紘くん』

俺は脳内によみがえってくる記憶と共に目を瞑った。



「――ねえってば!」

タオルケットを剥ぎ取られた俺は慌てて目を開ける。


「寝ちゃうなんてひどいよ」

そこには中学の制服を着た美憂の姿。ふて腐れている表情も可愛いと思っている俺は、中学2年の梅雨明けの頃には美憂に対して気になる女の子から、すっかり好意を寄せていた。


「寝てもいいって言わなかったっけ?」

「それはゴロゴロして待っててねって意味だよ」


美憂と親しくなって早1年。度々こうして美憂は俺の家に遊びにくるようになっていた。


西中からうちまでは目と鼻の先だし、寄りやすさで言えば抜群だ。でもこうして美憂が俺の部屋にいることが、まだ慣れていなかったりする。


「できたよ、ほら」

香ばしい匂いとともに美憂はあるものを俺に見せた。それは皿に並べられた動物の形をしたクッキー。