きみとなら、雨に濡れたい




私の防御は万全だった。


校舎に入る前から両耳にイヤホンをして。湿った雨の日にはそぐわないアップテンポの曲を大きな音量で聴いていた。

これなら話しかけられても声が聞こえないし、自然な素振りで無視することができる。


教室に向かうと、すでに小暮は登校していた。

ホームルームがはじまるまで誰かと談笑でもしてればいいのに、ぼんやりと外を見ながら頬杖をついている。


まっすぐ席に向かうかどうか迷ったけれど、私もアイツと同じで話す友達もいないので、そのまま着席した。

カバンからノートなどを出しながら、耳につけている白いイヤホンはきっと存在感を放っている。

これなら大丈夫だ、と油断した矢先……。


「ねえ」

小暮は無視できないぐらいの力加減で、私の肩を叩いた。


……叩くとか、ないでしょ。


横目でチラッと確認すると、小暮は珍しく私から目を逸らさない。


私の防御はなんだったのだろう。ため息をはいて、左耳だけイヤホンを外した。