それから春休みを経て、私は中学生になった。
ワイシャツにベストにリボン。私服はズボンしか持っていないので、スカート姿の自分が少し恥ずかしかった。
西中へと入学した美憂は、きっとうまく着こなして今頃はみんなから『可愛い』と絶賛されていると思う。
私の胸には北中の校章。
昔からなにをするにしても美憂が隣にいたから、美憂のいない学校は初めてだ。たぶん向こうも同じことを思っている頃だろう。
「じゃあ、廊下側の席からひとりずつ立って自己紹介をしましょう!」
ハキハキと喋る担任の先生。
真新しい教室に、真新しいクラスメートに、真新しい自分。
「柴田和香です。よろしくお願いします」
引っ越ししたことで地域が変わり、小学校からの知り合いはひとりもいなかった。
だから私は驚くぐらいすんなりと、柴田和香になることができた。



