きみとなら、雨に濡れたい




「なにしてんの?」

俺は東屋の入口で声をかけた。

おそらく雨で足音が聞こえなかったのだろう。
柴田がビクッとしていた。


「なんでアンタがここにいるの?」

露骨にイヤな顔をされてしまった。


「家までの通り道だからだよ」

といっても、わざわざ別に声をかける必要はなかったと思う。でも、気づいたら勝手に足が動いていた。


「勉強?」

テーブルには教科書とノートが広げられていた。


柴田の成績はたぶんクラスでは真ん中ぐらい。無難な問題は解くけれど、少し難しい問題になるとやる気をなくして、机の下でスマホをいじっていたりする。

平均点が取れるぐらい理解していればいいってとこなんだろう。


「柴田が学校の外で教科書広げてるなんて、ちょっと意外」


これは嫌味で言ったわけじゃないのに、どうやら柴田にはそう聞こえてしまったようで表情がみるみる不機嫌になっていく。