きみとなら、雨に濡れたい




「はっ。遠慮?誰がそんなこと頼んだの?アンタが勝手に怖じ気づいてるだけでしょ?」

「は?」

「威勢だけよくて不良ぶってるけど、アンタ普通にダサいから。腰パンも中途半端な髪色も見せつけるように何個もつけてるピアスも全部ダサいってこと、いい加減気づいたほうがいいよ」


「てめえ」と、菅野が柴田の胸ぐらを掴んだ。

その瞬間、プチッとセーラー服の胸当てのボタンが外れる。


ざわざわとしはじめる教室。

柴田は顔色ひとつ変えずに菅野を睨んでいるし、なんでこんなに強気なんだよ。


関わりたくない。面倒くさいと思いながらも「やめろよ」と、俺は無意識に声を出していた。


「は?なんか言った?」

菅野の視線が俺へと変わる。


あーあ。どうしよう。

先の展開なんてなにも考えてないけれど、柴田は引かないって顔をしてるし菅野は頭に血が上ってるし。

こんなの放置してたら、絶対に菅野は柴田に手をあげる。


男として最低だと思うけど、菅野はそういうことでさえ不良のステータスだと思っていそうなヤツだから。


「もうすぐチャイム鳴るだろ。これじゃ、みんなが移動できない」

俺は柴田を庇うことを言わなかった。

見ているだけのクラスメートも巻き添えにして、あえてこう言ったほうが菅野を逆撫でしないと思ったからだ。


タイミングよく予鈴がスピーカーから鳴り響いて、菅野は舌打ちをしながら柴田から手を離す。

バンッ!と威嚇するようにドアを蹴ったあと、理科実験室じゃない方向へと菅野は歩いていった。