きみとなら、雨に濡れたい



「千紘くんって部活やってる?」

女子に下の名前で呼ばれたことなんてなかった俺は固まってしまった。この容姿でこんなにフレンドリーなんて、男子の大半が勘違いするだろう。


「千紘くん?」

「え、ああ、部活はやってるけどやってない」


一応ラクそうな卓球部に所属してるけど、部活に出たのは顔合わせの1回だけ。

サボればサボるほど行きづらくなって、今では立派な幽霊部員だ。


「はは、なにそれ」

高木さんはくしゃりと笑った。右側にえくぼができるところも可愛いと言われるポイントだと思う。


「じゃあ、ちょっと放課後付き合ってくれない?」

「え……ど、どこに?」

高木さんはニコリとするだけで、この場では教えてくれなかった。


そして戸惑いを隠せないまま放課後になった。

高木さんに言われたのは2時間目の休み時間。それから約五時間が経ったけれど、高木さんとは話していないし、ただ俺をからかっただけだと思いきや……。


「千紘くん、行こう」

カバンを肩にかけた高木さんが近づいてきた。