きみとなら、雨に濡れたい




あれはこの町が雨に濡れる前の3年前。

俺が中学一年の時だった。


学ランは卒業まで使うからと大きめのものを買ったけれど、入学して2か月経っても袖を捲らなければいけなかったぐらい俺はチビだった。


「ねえ、どうしていつもひとりでいるの?」

教室の端っこで本ばかり読んでいた俺に声をかけてくれたのは、入学式早々に先輩に告白されたと有名な高木美憂だった。

高木さんは誰の目から見ても可愛かった。


身長は女子の平均的な154センチくらい。

艶のある長い黒髪にセーラー服から見える足はすらりとまっすぐで細い。おまけに肌は透明のように白くて、ビー玉みたいに黒目の大きい瞳。

こんな田舎町にこんな美少女がいることにビックリだけど、もっと驚いたのは影の薄い俺が今話しかけられているということだ。


「おーい。私のこと見えてますか?」

高木さんはひらひらと俺の顔の前で手を振った。


「見えてる、けど……」

実は声変わりの最中だった俺はできることならあまり喋りたくなかった。

地声と裏声が混ざっているようなヘンな声だし、なにより意思とは関係なく声がひっくり返るから恥ずかしい。