「……入る?」
気づくと柴田に自分の傘を傾けていた。
だって雨はやまないし、人通りもないし、もうすぐ校門が閉まる時間になってしまう。
柴田は無言だった。そして俺も傾けた傘をどうしたらいいのか分からずに気まずい。
「イヤならいいけど……」と、傘を戻そうとした瞬間。柴田が慌ててピシャッと足を前に出す。
「……イヤだけど、入れて」
柴田には似合わない小さな声だった。
相合い傘というよりはイヤイヤ傘。
お互いにイヤなのに、俺たちは狭い空間で歩幅を同じにして歩く。
「私のほうにわざわざ傾けなくてもいいから」
せっかく濡れないように配慮したのに、可愛げもなくそう言われてしまった。
たぶん柴田はあまのじゃく。素直で人懐っこい美憂とは対照的で。やっぱりどう見ても似てるところなんて、ひとつもない。



