きみとなら、雨に濡れたい




暫く左右に回していると、やっとドアが開いて私は中へと入ることができた。

家の中は2DK。外観より古くささはない部屋だけど、天井にはこの一年でできた雨染みが広がっている。


私はこの家でお父さんと二人暮らし。でもお父さんは運送屋の仕事をしていて長距離で荷物を運ぶ時もあるから、毎日は帰ってこれない。


私は空気の入れ替えのために窓を少しだけ開けた。

視線の先には大きな陸橋。そこを越えるとすぐに隣町に変わる。


この町の上空は雨雲だというに、隣町の空は明るい。

その町と町の境目はちょっとしたミステリースポットになっていて、一時期境界線をまたいで写真を撮ることが流行ったぐらい。

まあ、それも最初だけ。こんな現象が一年も続けば、話題はまた別のほうへと移り変わる。 
 

私は窓を開けたまま、ベッドに横になった。

目を瞑って考えるのはやっぱりあの子のこと。


『和香ちゃん、大好き』

この性格で次々とみんなが離れていく中で、あの子だけは私にそう言ってくれた。

でも、私は一度も〝美憂〟に大好きと言ったことはない。


後悔と嫉妬が入り交じる雨。

今さらなにを思ったって、美憂が返ってくるわけでもないのに……。


本当にこんな気持ちはうんざりだ。