作中では雨がキーワードになり、最後は美憂が降らしたであろう雨でふたりはやっと未来に向けて歩きはじめます。
雨を降らす、なんて少し非現実的なことかもしれませんが、もう会えない大切な人が起こす奇跡は現実でもあると思います。
たまたま目に入った数字があの人の誕生日。ふいに立ち寄ったお店で思い出の曲が流れてくる。
そんな風に自然と大切な人を思い出す出来事があるのは、私だけではないはず。
それは奇跡じゃなく、本当にただの偶然かもしれない。
でも奇跡でいいのです。そうやって思えること自体、あの底知れぬ喪失感から少しずつ進めているんだなあ、と。
ちゃんと大切な人を心に残したまま歩けている証拠なのだと思ってます。
珍しく長く語ってしまいましたが、この作品が誰かの背中を押す手助けになれたら、嬉しいです。
そして、雨のようなしっとりとした世界観の中で、じわじわと距離を縮めていったふたりを最後まで見守っていただきまして、本当にありがとうございました!
また別の作品で会えますように。
永良サチ