あとがきです。


まずここまで読んでくださり、ありがとうございました!


いつか書きたいと思っていた雨の話。

書くなら6月!と思っていたので、この時季に書ききることができてよかったです。


この話を書く時に最初に迷ったのが、千紘と和香のどちらを主人公にするかでした。

一人称の場合は相手の心理などが書けないので、そこを主人公が読み取りながら悩み成長していくのが一般的だと思うのですが、今回は千紘の美憂への想い。和香の美憂への葛藤は、しっかりと書きたいと思い、交互で視点を変えながら話を進めていくことにしました。

両視点という書き方は私も初めてで、読んでくださった方が戸惑われなかったか不安です。


この話の大きなテーマは【大切な人を失った時、人はどう立ち上がるのか】


私も親しい人を亡くした経験があり、あの底知れぬ喪失感は今でも忘れません。


生きていれば自然と死という言葉を耳にしますが、大切な人を失った時。もう会えない、声が聞けない、二度と同じ時間を過ごせない。そういう悲しみが現実と共にじわじわと押し寄せてきます。

この物語に登場した千紘も和香も美憂という大きな存在を亡くして、心の行き場がありませんでした。


その人のぶんまで、その人が見ているから。立ち上がり方はきっと人それぞれ違いますが、ふたりは美憂を心に置き、一緒に生きていこうと決めました。