きみとなら、雨に濡れたい




「あ、でもそんなに大きく変えたつもりはないのよ。だけど私が作った話でも嬉しそうに聞いてくれてたからつい、ね」と、律子さんが苦笑いを浮かべる。


ということは、美憂が俺たちに話していたことは律子さんの作り話だったってことか?

でも、この町は今も雨が降っている。まるで、作り話の言い伝えのように。


「大きく変えたつもりはないってことは、元の話が本当にあるってことですか?」

次に質問したのは俺だった。


「聞きたい?」

律子さんの言葉にこくりと頷く。


「でも、その前に小暮くんと和香に渡さなきゃいけないものがあるの」


そう言って、戸棚の引き出しから律子さんがなにかを持ってきた。それは二枚の青とピンクの手紙だった。


「これ、美憂から預かったものなのよ」


ドキッと、心臓が跳ねる。

隣を見ると柴田も動揺したように俺と同じ顔をしていた。


「いつか、ふたりが一緒に訪ねてくることがあったら、渡してほしいって頼まれたの」

「ふたりで……一緒に?」

俺と柴田が顔を見合わせる。


「もちろん中身は見てない。きっとふたりに伝えたいことがあったのね。よかった。渡せる日がきて」


律子さんの手から受け取った手紙。美憂の想いが詰まっているからか、ずしりと重たく感じた。