「そうだ。フロランタン食べる?」
「フロ……ランタン?」
初めて聞いた単語に戸惑っていると、隣の柴田が鼻で笑った。
「クッキー生地にナッツとキャラメルがかかったお菓子だよ」
そんなことも知らないのかと、バカにされたような気がしたけれど、律子さんには「じゃあ、いただきます」と返事をした。
お皿に乗せられたフロランタンは、まるで宝石みたいに光沢があった。
そういえば律子さんはお菓子作りが趣味だって言ってたっけ。こんな洒落たものなんて、ばあちゃんは作れなかったから俺が知っているわけがなかった。
「柴田もこういうの作れんの?」
ふと、家庭科の調理実習の時の手際の良さを思い出した。
「レシピ見れば大体作れるよ」
「へえ、すげえな」
「どうせ私がお菓子作りなんて〝らしくない〟と思ってるんでしょ?」
「いや、思ってないよ」
「いや、思ってる顔してた」
柴田は本当にああいえばこう言う。律子さんは俺たちの会話を聞いて笑っていた。



