きみとなら、雨に濡れたい




俺は露骨に視線を柴田から逸らした。

オレンジジュースに罪はないけれど、なんでよりにもよってコイツが同じものを買うんだろう。


柴田はおそらく数秒ほど俺の横顔を見ていた。
けれどまたなにも言わずに通りすぎて、彼女と同じフローラルの香りだけを残していく。


多分、柴田に友達はいない。

誰かと一緒にいるところなんて見たことがないし、いつもひとりで行動しているイメージだ。


まあ、馴れ合いを好むタイプでもなさそうだし、あれだけ気が強い性格をしてたら周りから敬遠されるのもムリはない。

……なんて冷静に分析している俺も坂口がいなくなってしまったから、友達らしい人はひとりもいないけれど。



――『ねえ、どうしていつもひとりでいるの?』


そういえば彼女との出逢いは、この人付き合いが下手くそな性格がきっかけだった。

学年で、いや。学校で一番可愛いと言われていた彼女が声をかけてくれた衝撃は忘れない。


もしも、彼女が生きていれば俺たちは同じ高校に進むはずだった。だからきっと、今も俺の隣にいて同じオレンジジュースを美味しそうに飲んでいたと思う。


……ぴちゃ。

屋根を伝って滴り落ちてきた雫が通路の手すりに跳ねて、俺の顔に当たった。

手で触ると、最後の日の彼女の温もりのように冷たかった。