きみとなら、雨に濡れたい



ちょっとした騒ぎはあったけれど、そのあと再開された試合では俺にボールが回ってくることもなく、ラクをして授業を終えることができた。


そして休み時間になり、俺は校舎へと続く通路とは反対方向に向かう。

目的は食堂前にある自動販売機。4台並んでいる自販機には俺と同じように飲み物を買いにきたクラスメートやB組の生徒たちが群がっていた。


炭酸飲料の種類が多い自販機はかなり混んでいたけれど、俺は迷わずにあまり人気がない3台目に小銭を入れる。

ボタンを押した飲み物は体育終わりには少し甘いつぶつぶ入りのオレンジジュースだった。


実はあまり柑橘系は得意じゃなかったけれど、『これ美味しいんだよ』と、毎回彼女がこればかり飲んでいるから、俺も自然と飲むようになってしまったのだ。


あちらこちらでシュワッという炭酸飲料を開ける音が聞こえる中で、俺はプルタブの金属音だけを響かせてオレンジジュースをひと口飲んだ。


この口いっぱいに流れてくるつぶつぶが最初は苦いだったのに、今じゃこのつぶつぶまで味わうぐらい俺はこの飲み物ばかりを買っている。


特に体育を頑張ったわけでもないけれど、喉はそれなりに乾いていて俺はゴクゴクと飲んだ。

そんな俺を押し退けるように誰かが3台目の自販機の前に立って、乱暴にボタンを押した。出てきたのはつぶつぶ入りのオレンジジュース。


滅多に買ってる人なんていないのに珍しいな、とその人物に目を向けると……。


げ……。

俺は思わずオレンジジュースが喉に詰まりそうになってしまった。

だってそれがギロリと睨んでくる柴田だったから。