「ハア……ハアッ……」
私はまだ雨の中を走っていた。
押し寄せてくる後悔と、今も消えない劣等感。
双子として生まれて、双子としての喜びもたしかにあったはずなのに、美憂にひどいことを言ってしまった。
謝ってないのに、美憂とちゃんと話せていないのに……。
美憂はもうこの世界にはいない。
もう美憂の気持ちを聞くことはできないし、喧嘩をすることもできないし、仲直りすることもできない。
ぽつり、ぽつり、と降りしきるのは後悔の雨。
『ねえ、和香ちゃん。水飴症候群って知ってる?』
耳の奥で美憂が私に問いかける。
『そんなに強い絆で結ばれた姉妹なんて、憧れちゃうよね』
ごめん。私はそんな風にはなれなかった。
美憂を傷つけることしかできなかった。
息を切らせてたどり着いたのは、いつもの公園だった。通路に咲く紫陽花は憎たらしいほど綺麗な赤で。今は色鮮やかなものは見たくない。
やっぱり、私がいなくなればよかった。
美憂じゃなくて、私が……。
「なにしてんの?」
ザッと抜かるんだ地面を擦る音。雨はやまないはずなのに私は今、濡れてない。



