きみとなら、雨に濡れたい




こうして改めて横顔を見ると首筋や喉仏、血管が少しだけ浮き出ている手は千紘なんて女の子みたいな名前のくせに、ちゃんとした男なんだって感じる。

……って、私はなにを考えてるんだか。


「いたっ」

手元を確認しないで作業していた私は、ホチキスの針が指に刺さってしまった。

じわりと滲んでくる血は、雨によって色を変えた紫陽花の赤のようだった。


「大丈夫?」

「……うん」

「ちょっと見せて」

指先を見せると、「こういうのって地味に痛いよね」と小暮は私の人差し指に触った。


何故だか小さく胸の鼓動が跳ねた気がした。

壊れ物みたいにあまりに繊細に触れてきたから動揺したのだ。


「……アンタさ、美憂のどこが好きだったの?」

気づくと私はそんなことを聞いていた。小暮はガタンとホチキスを落としてしまい、かなり動揺していた。


「な、なんでそんなこと聞くの?」

「べつに。暇だから」

不器用な言葉を投げて、私はまとめたプリントの角を綺麗に整える。 


「……どこって聞かれてもな」

「顔?」

「うーん。顔も含まれるかもしれないけど」

小暮は曖昧な返事しかしなかった。