きみとなら、雨に濡れたい




そして放課後になった。

普通ならば黄昏色に染まっているであろう窓からの景色はどこを見ても雨模様。

一年間こんな雨ばかりを見ていると、あの厚く覆っている雲が晴れることなんて、これから先もないんじゃないかと思ってしまう。


カチ、カチとホチキスを留める音が教室に響く。他のクラスメートはすでに帰ってしまった。だから今は小暮とふたりきり。


「あれから菅野に絡まれたりしてない?」

「してるよ。小暮とどこまでいってんのって気持ち悪い質問ばっかりしてくる」

「あー」


小暮も同じことを聞かれてるって顔。

たしかに乱暴な絡まれ方はしなくなった。でも、私は今のほうが居心地が悪いというか、反応にいちいち困るから面倒だ。

わざわざ『付き合ってない!』と強く否定したらムキになってると思われそうだし。


カチと、プリントを五枚でまとめる作業は、私よりも小暮のほうが速かった。

シーンと静まり返っている教室で、本来ならば息が詰まりそうな空間も今はそう感じてない。

不思議と小暮とは沈黙でいても平気だ。