幼い時は理解できなかったことも、幼稚園に上がる頃にはなんとなく自分と美憂の扱い方に差があることは感じていた。


私は三才から幼稚園に通ったのに美憂は一年遅れだったし、食事の時や寝る時だってつねにお母さんは美憂に付きっきりだった。


美憂が泣くとすぐに駆け寄り、美憂と喧嘩をすると怒られるのはいつも私のほう。

今思えば、美憂はなにかあるごとに息苦しそうにしていたし、お母さんが小分けにした薬をいつも持ち歩いていた。

でも小さい頃は発作が起きるたびに優しく抱きしめられてる姿や丁寧に薬を飲ませてもらっていることにも嫉妬してた。

だから私も同じように息苦しそうなふりをしたら、お母さんにめちゃくちゃ怒られた記憶は今でも忘れない。


美憂はお姫さまだった。

いつも守られて、いつも気遣われて。私が元気いっぱい走って一位をとった時よりも、美憂が少しでも走れて参加した運動会のほうが両親は喜んだ。