……この依頼人が、どうしても私たちの便利屋に頼みたいという理由でもあった?

恐らく現世に住む妖怪からの依頼なのだろうが……かつての依頼人で現世に住む妖怪なんて数少ないはず。

……どういうことなんだ。


考え込む私に、薫が


「青葉さんから返事が来ましたよ!」


と告げた。


青葉から来た手紙には、同封された住所は都会とも田舎とも言い難いある町だという返事が来た。

ちなみにそこはある一軒屋だとか……。


「どうするんですか?依頼人の連絡先が分からない以上身動きはほとんど取れませんが……」


不安げに問う薫。

私はまとまりきらない考えを、口に出す。


「……何者かによる罠の可能性も否定は出来ません、しかし本当の依頼の可能性もあります。

今の現世に行くことは危険ですし……。

こればかりは私だけで判断できません。他の便利屋に対応を相談するべきですね」


これが、今の私にとってのベストの考えだ。

薫も頷く。


「では、知り合いに……」


そう私が言おうとした途端、手元に1通の手紙が現れる。

言霊によって送られた手紙。


「……もしかして、この依頼人から……?」



私は迷わず手紙を開いた。