手のひらの天秤 ~究極の選択ゲーム~


「それが和希がいきなり倒れてきて、私がとっさに受け止めたら二人仲良く下まで転げ落ちてきちまったんだよ」


紀望お姉ちゃんはその時に腰を強くぶつけたらしい。


「うん。そうなんだけど、でも、何か変なんだよ。何て言うかさ……」


和希は少し言葉をつまらせた。


「変って何が?」


「うん。足が滑って階段から落ちたっていうよりは、何か見えない手で押された気がしたっていうか……」


「えっ! なにそれ!」


和希が言うには、階段を降りようとしたら、誰かに背中を押されてそのまま紀望お姉ちゃんの方まで落ちてしまったらしい。


「そんな幽霊みたいな話あるわけないじゃない。疲れてたのよきっと…」


オカルトが嫌いなお母さんはとりあえずそう言ってその場をなだめた。