手のひらの天秤 ~究極の選択ゲーム~


「どうしたのよ? いきなり走り出して?」


お母さんは私の後を追ってきた。


「ねぇ、お母さん……この部屋は……?」


「はっ? 物置に決まってるでしょ?」


「嘘だ……ここは、和希の部屋だった……」


「だから、さっきから何言ってるのよ? 和希って誰?」


私はお母さんにつかみかかった。


「和希だよ!? 私の弟!! 私は和希が生まれた日のことだって!! 初めてみんなで遊園地に行った時のことだって!! 全部、全部! 覚えてるのに!!! 本当にお母さんは忘れちゃったの!?」


私は声をあらげてお母さんに言った。


「そんなこと言われても……」


お母さんは不思議そうな顔で私を見ていた。