感謝って?
志芳ちゃんが私に?
「そんな、感謝だなんて。私、特別、志芳ちゃんの役に立てたこともないし」
「そんなことないわ。もし、希望がいなかったら、私、多分、クラスでは今よりもっと浮いた存在になっていたと思うし……」
「えっ…?」
そう言って志芳ちゃんは少し悲しげな顔をした。
「私、たまに人の気持ちが分からないときがあるの。物事には『正しいか間違っているか』しかないと思っているから。でもそれって、時には人の気持ちを傷つけてしまうことがあるの」
たしかに、志芳ちゃんはすっごく正論を言うんだけど、それが冷たすぎるというか……それでクラスメートとも対立してしまうことがあった。



