「……先輩は幸せですか?」


涼しい顔に戻った先輩にそんなことを聞いてみたけど


「うーん、俺もあんま幸せじゃないかもなぁ」


やっぱり、涼しい顔のまま帰ってきた。
さっきの顔はあんまり見せないのかな……


「んじゃ先輩も幸せになんなきゃですね」

「幸せねぇ。
真希ちゃんはどうしたら幸せになれると思う」

「とりあえず今はエアコン効いたとこにいけば幸せ感じられると思うんですよね」

「あー、それは間違いない」


なんてったって今は夏休み。真夏。
日陰なんてものは本当に可愛いもので、太陽からの熱がバンバン伝わってくる。

もうすぐ太陽が一番高く登る。
そうなったら、この屋上に日陰ができるんだろうか


「……とりあえず飯行く?」

「んー、でもそれはそれでめんどくさい」

「いやだから頑張って生きてって言ったじゃん」

「頑張りたいんだけど暑くてやる気起きない」

「ファミレスは涼しいし美味しいものが食べられるし幸せで溢れてる」

「それまでの道中が地獄」

「わがままいってると置いてっちゃうよ」

「……じゃあ行きます」

「はい、立ちましょう」

「先輩もね」


ってことで、私たちはようやく屋上から出る。
本当にこれから数時間、あそこは地獄になる。

風もないし汗がヤバイ。


「あっちー。超汗かいたわ」

「先輩でも汗かくんですねぇ」

「は?え、どういう意味」


そんな涼しげな見た目でも暑さ感じるんですねって意味ですよ、うん


「暑い。早く行こ」

「うわ、俺の質問はシカトか」