君がいて、僕がいる。



「……神谷の家族が自殺したこと知ってるよね?」

「あ、うん
それは圭介から聞いたけど…」

「その妹の自殺も強姦だったんだ。
妹は強姦で自殺して、それを知った両親は後を追って自殺。
そんな過去があいつにはあるから、きっと家族には内緒にしておこうって思ったんだよ」


……そっか。
知ったところで幸せにはならない…

……でも、そんなの悲しすぎるよ…


「神谷の話はそれで終わり。
そんなことがあったから俺、神谷にまた彼女ができて、神谷に好きな人ができて嬉しかったんだよね。

結局うまくいかなくても、それでも神谷が前に進めてて」

「……ううん、そんなことないよ。
あの人はきっと、全然前に進んでない。」


屋上で自殺してる人を止めてる
そんなあの人の本音はもう誰にも死んでほしくない
誰も消えてほしくない
それを悲しむ人は絶対にいるから。

そこに来たのが、私だっただけ。

あの人が私と一緒にいたのは

もう誰も、死んでほしくないからだ。


それを自分が止められたらって
自分にできることをしてるだけ。

その使命感から、私と一緒にいたんだ。


『真希ちゃんが死んだら俺が悲しむよ』

その言葉を現実のものにするために。


この世に残された者として、できることをしているだけなんだよ


「でも、生きてるんだか死んでるんだかわからない神谷をあそこまで人間らしくしたのは真希ちゃんだから」

「それはどうかな」

「いや、確実に真希ちゃんだから。
俺、いつかあいつが復讐とかするんじゃないかって思ってたけど
最近のあいつは楽しそうだから。

だから、これからも神谷を頼むよ」


頼むよと言われましても……
なにをどうすればいいんだよ……


「あいつが後追い自殺とか、復讐みたいなばかげたことしないように、見張って
今の生き甲斐は真希ちゃんだって思われるくらいにさ、頼むよ」


「……わかった。」