「それで、なにかあった?」

「え、ううん。何にもないんだけど…私、圭介のことなんにも知らないから、その…知りたいっていうか」

「そっか。
でもさ、それは神谷から聞いた方がいいよ。
俺から聞くのは簡単だけど、でも神谷から直接聞いた方が親密度は上がるの思うな、俺は。」

「……話してくれるかな」

「どうだろなぁ。あいつ、本当に全然自分のこと話さないから。」

「それでも、優斗くんはそれなりに知ってる?」

「表面的なことはね。
でも俺は神谷から直接聞いた訳じゃない。表面を見てきただけ。
だから俺が知ってることも、もしかしたら間違ってるかもしれない。

だからこそ、直接聞いた方がいいよ」

「…そっか、わかった」

「ん、じゃあ屋上行きなよ。待ってるんじゃない?もう9時半過ぎたし」

「うん、でも最後にひとつだけ。
あのさ、優斗くんと圭介って、ずっと今みたいな感じ?
荒れたことってない?」

「荒れたこと?」

「うん」


だって、圭介は将希のことを知ってた。名前も知ってた。
無関係には思えない。…けど、今の圭介しか知らない私からしたら違和感しかなくて…


「むしろ神谷は最近になって落ち着いた、かな。
荒れてた期間のが長いと思う」

「えっ!?え、そうなの?
あんな感じは最近からなの?」

「いや、前からあんな感じではあったんだけど…なんていうか
荒れなくなった」


・・・はぁ?
ちょっと理解に苦しむな…

あんな感じで荒れてたの?荒れてたってどんな感じ?
だって不良じゃないじゃん。


「なんていうかなぁ…あ、付き合う友達を変えたっつーか」


ってことは、やっぱり昔は将希と仲良かったのかな…
でも…想像できない。


「俺もこれ以上はわからない。
学校の外までのことはわからないから。

ただあいつは前から今みたいに反応が薄くて、なんでもほどほどのやつだった」

「へぇ…そっか、わかった。ありがと」

「いえいえ、どういたしまして」


やっぱり、圭介のことは圭介に聞こう。
ここでこそこそ聞くのはよくないよね…