「……ふふ」

「…笑ってんなよ」

「だって似合わないんだもん。」

「……るせぇよ。
一応こんなんでも彼氏だしな」


そういって頭をガシガシして下向く圭介がなんか可愛くて、私はまた笑ってしまった。


「あのね、圭介」


でも、面白がってばかりもいられない、というかなんか可哀想だし、勘違いもしてほしくないからちゃんと言うよ


「将希さ、弟なんだよね」

「……は?」

「前に話した自由に育って荒れてる弟が、将希なの」

「・・・まじ、かよ」

「え?」


え、今度はなんでそんな顔?
なんでそんな驚いてる?そんなたまげることか?

私が将希の姉だったらおかしい…?


「……将希が荒れたのって、去年からだっけ」

「あー、うん。
中1の頃からその気があったけど、本格的に荒れたのが去年かな。

なんで?」

「……いや」


圭介の表情はなんかものすごく怖くて、固くて
あんなにさっぱりとした圭介だとは思えないくらい、なにかが詰まった顔をしてる。

ねぇ、圭介
なにを考えてるの?
将希と、なにかあったの…?


「━━あ、ごめん
なんか飲む?」

「あ、うん」

「お茶いれるね」


そういって圭介は立ち上がったけど
…まだまだ、圭介について知らないことばっかりだな…

家族のことしか私はまだ知らない。