散々焼き肉平らげ、デザートのアイスも食べ、ようやく私たちは店を出た。


「じゃあな」

「ちゃんと帰りなさいよ~」

「気が向いたらな」


焼肉屋の前で別れる私たち。
一応カップル割食べたんだからさ…ここでさようならじゃおかしいでしょうが…

……まぁ、いいや。


私はまた圭介の家に戻るべく、足を動かす。
このくそ暑いなか焼き肉食べて、体はすっかり火照ってる。
暑い、暑すぎる。
圭介んちエアコンついてるといいな。…人んちなのに図々しいけど。


━━ピンポーン…

朝押したこのインターホンをまた押す。
弟とご飯行ってまた来るなんて、私もつくづく好きだな。


「おかえり」

「ただいま」


自分んちでもないのに、優しい彼氏がそうやって出迎えてくれるから、私も自然と『ただいま』と言ってしまう。
でもそんくらい、ここが心地いいから。


「涼しいー…」

「外暑いもんな」


圭介んちはすっかりエアコンで冷やされてる。
朝は扇風機だったのに。


「……将希と知り合い?」

「え?」


ま、まさき…?
え、なんで圭介が知ってんの?逆に知り合いなの?

全然接点無さそうなんだけど


「さっき、真希が出てった後窓から見えたから。二人で歩いてるとこ。
……用事って、将希だったんだ?」

「え、あぁ…うん。まぁ…」


『将希』
そんな風に呼び捨てにしてるってことは、知り合い以上であることには間違いない。

でも、3つも離れてる上に系統が全く違うし…どういう知り合い…?


「…なんか俺、ちょっと安易に言ったのね。真希に、付き合おうってさ」

「えっ。」


ちょ、ちょい…ショックだぞ、それは…
私も全然深い意味で付き合ってないんだけどさ…


「でも、ああやって俺より将希優先させて出掛けてったの見たら、なんかちょっとムカついた」

「え?」


そ、それは…もしかして……嫉妬?え、圭介でも嫉妬ってするの?
…しかも、よりにもよって将希相手に。


「なんか、俺よりも将希といる真希のが楽しそうで、俺には見せない一面見せてて、むかついた
全然俺には見せない顔だったし、なんならなんか照れてたし…」


……よく見てるな。
でも、今の圭介の顔がなんかめちゃくちゃ真剣で、本当に私なんかのために嫉妬というものをしてくれてて

私の顔はどんどんほころんでいた。