「━━じゃ、お邪魔しました。」


将希と約束の時間も近づいてきたので、圭介の家を出発する。

ここからなら本当近いな。助かる。


「……ね、何時に終わる?用事」

「え、たぶん3時とかに終わると思うけど」

「じゃあ終わったらまた来てよ。
俺家にいるから」

「ん、いいよ。
私もどうせ暇だしね」


それどころか、あんな勢揃いの家に帰りたくなんかないし…

なんて考えてたら自然と目線が下がった私を

「真希」

また目線をあげさせた圭介。
そんな圭介はすんごい優しい顔をして、私を見て頭を撫でる。
そして近づいてくる圭介の顔。
その状況に固まってしまって目を開いたまま、そのあとのキスまでしっかり見届けてしまった。

「…ハハ、目くらい閉じようか?」

「えっ…、あぁ!ご、ごめん!」

「行ってらっしゃい」

「い、いぃってきます!!」


この暴れる心臓と共に、私の口も手も、身体中が暴れて思わずドアをバタン、と強く閉めてしまって、一瞬ハッとするもどうしても落ち着かない私の身体はすごい速さでアパートを後にした。


に、しても……
カップルってこんな感じなのか!?
なんなの、超幸せなこの感じ!!
みんなあんな感じなの!?

なんていうか…誰かと付き合うことでこんな幸せな気分味わえるなら、将希が軽い気持ちで付き合えって言ってたのわかる気がするな……


「よぅ」

「うわ!将希!!」

「なんだよ、うるせーな。
ってか顔赤くね?」

「あぁかくないよ!!
ってかこんなとこでなにしてんの!」

「なにって肉食いに行くから歩いてんだろが。
ま、ちょうどよかったわ。行くか」

「あ、うん」


ふ、ふぅー…
なんか将希に会ったらちょい落ち着いたわ…
まぁまだ心臓はバクバクなんだけど…


「ってかなんでそんな挙動不審なわけ?
真希ってそんな落ち着きないやつだったっけ」

「た、たまにはいいでしょ!」

「声もでけぇし、顔は赤いし
……あ、もしかして誰かにコクられたとか?」

「うぇ!?」


なんなんだこいつ!!エスパーか!!


「うわ、当たりかよ
真希に惚れるとかセンスねー。」

「ダマレ。」

「でも真希って意外と人気あるよな。
俺のツレでも真希ならアリってやつ何人かいるわ」

「不良は無理だ」