それから3本ほど映画を見て

「やばい、そろそろ学校行かないと」

圭介が、やっと重い腰をあげた。


「えー、でもまだこれみたい」

「そんなん明日また見りゃいいじゃん
銅像は今日だけなんだからな!!」


……いや、だからどこに熱込めてんの。いつもはあんなさっぱりしてるくせに。


「…ったく、仕方ないな」


ま、たまには子供だまし的なやつに付き合ってあげるか。


「よし、行こ」

「はいはい、わかりましたよ」


バッグを手に取り、戸締まり確認をして圭介のアパートを出る。
気づけば雨も上がっていて、向こうには三日月も出ている。

ここから学校は本当に近くて、もうすぐそこ。
5分も歩けば学校に到着だ。


「うわー、不気味」

「とりあえず正面玄関からあるかどうか確認してみようよ」


時刻は20時05分。
噂通りなら銅像はもうすでにそこにはないはず。


「真希から見てよ」

「いや、言い出しっぺは圭介でしょ」

「真希ならいける」

「圭介は男で年上なんだから」

「…じゃあ、せーの!でいくか」

「……はいはい」


まったく、怖がりだな。

正面玄関横までたどり着き、私は躊躇なく

「せーの」

掛け声だして正面玄関を覗いてみた。


「ど、どう!?」

「いや、結局見ないんかい」


圭介は結局私の後ろに隠れてる。
なんなんだ。そんな怖がりなら家にいればいいのに。


「んー、……え?」

「え、なに!?」


あれ…?まって?

普段、あそこにおいてあるよね…?


「……ない、んだけど」

「え!?」

「だから、ないってば。理事長の銅像」


本当に、台だけが残っててそこには銅像はなかった。