そのあと、外からガヤガヤとした声が聞こえてきて、下を覗いたらみんなが体育館から出てきたところで、私たちも教室へ戻ることにした。

もう圭介がまったくやる気ないんだけどね。
「俺友達いないもん!」とか言って。
そりゃ留年したんだから仕方ないんだけどさ。でもきっと、圭介ならまた新しい友達ができるよ。


「今年は真希2組か~」


圭介は安定的に私を教室まで送ってくれる。
そしてしっかり中まで入る。

本当に本当に、他のクラスに躊躇なく入れる人尊敬するわ…


「そ、2組。
あとね、友達がいるよ」

「真希に友達とか!本当進歩したなぁ…
あの頃とは大違い…」

「圭介のおかげ。」


そう言って私は自分の席に座る。
この教室にももうすでに生徒でいっぱい。だけど圭介はこれまたまったく気にすることなく私の前の席に座った。


「……自分のクラスにいきなよ…」

「HRまで時間あるんだしいいじゃん!」

「こういう時間に友達作ればいいのに…」

「いやみんな俺のことビビってるから。
先輩だし、あれだし、で。

そういや真希、あの日俺の本性的なとこ見たのに俺のこと怖くないの?」

「え?全然怖くないよ。
だっていつものほほーんとしてるし」


ま、たまに感情的にもなるし、以前と比べて喜怒哀楽も出てる。

全然怖くなんかないよ。優しいもん。


「……それでこそ真希だよな」


そういって私の頭を優しくポンポンとした。
それも、とびっきり優しい笑顔付きで。


「……私もだいぶお節介なこといったけど
めんどくさいとか思わないんだね」

「思うわけないじゃん!
むしろそれだけ俺のことが好きだってことだもんね」

「……ここでそういうこと言わないで」


まったく、しれっと変なこと言いやがって……
しかもこんな人いっぱいの教室で…


「あ!真希いたの!?」

「おはよー!」


そこに、教室の後ろの方でしゃべっていた世奈と由貴がこちらへときた。


「おはよ。
さっきありがとね」

「いえいえ、どういたしまして。
ってか先輩と一緒だったんだね!」

「休学明けから一緒にいるなんて、本当ラブラブだね~」


え?ちょっと待って…

「……世奈、どうして圭介が休学だったって知ってるの…?」

「え、いや有名な話だよ?
だってあの神谷先輩だもん、男からも女からも憧れの的だし、知らない人はいないんじゃない?」


・・・いや、私知らなかったんだけど…
私だけですか?ずっと辞めたと思ってたの…

今日の今日まで、誰も言ってくれなかったじゃん……


「真希には誰も伝えなかったんだろうね。
だって俺の彼女だし、みんな知ってると思ってただろうし」

「いやでも別れてたじゃん」

「そっちの方が知らない話だって」


・・・なんだそれ…
いや、噂ってどんだけ適当なの…

いやでも休学はあってたのか…