そのあと、私はおじいちゃんとおばあちゃんを私も入院していた病院へと送っていった。
私を心配して、将希もついてきたけど。


「真希ちゃん、本当にいろいろありがとね」

「だから、私はなにもしてないって」

「……あと、圭介がこれを真希ちゃんにって」

「ん?」


差し出されたのは手紙、というより、一枚の紙だった。


「……見ていい?」

「私らはいいよ」


そういうので、私は四つ折りされた紙を開いた。
そこには確かに圭介の字で
『いろいろごめん。ありがとう』
と、その下に小さく小さく
『毎日空を見上げて真希の幸せを願ってます』
とかかれていた。

その言葉が、なんだか圭介らしくなくて
でも、なぜか私の目にはまた泪が溜まっていく。


「……おばあちゃん」

「ん?なんだい?」

「ちょっと、待ってて」


そういって、私はベンチへ走った。
圭介からのこの紙の下の方を切り取って、今度こそ本当の私の願いを書いた。


「お待たせ。
……これ、圭介に渡してくれる?」

「…あぁ、わかったよ」

「じゃあ、わざわざ来てくれてありがとう。
またあえて嬉しかったよ。これからも頑張ってね」

「ありがとう。
真希ちゃんも、いろいろ頑張って。」


そういって、最後におばあちゃんを抱き締めて、私たちは別れた。
もう二度と、あの二人とも会うことなないかもしれない。

でも、出会えてよかったよ。


「将希、帰るよ」

「あぁ。
ってかさっきの紙、なに書いた?」

「言うわけないでしょ」





そう、それは私だけの願い
なにが幸せなんか私にはわからない。

でも、今一番願ってるのは間違いなく、これだから。


『またいつか、圭介と一緒に笑い合えたらいいな』


そんなことを、私は空に願うよ。
どこかで流れているはずの星に、私の願いを乗せるよ。


『辛くなったらいつでも手を伸ばして。
私がその手を必ず掴むから。

だから、もうひとりじゃないよ』


忘れないで。
私は、圭介がいなかったらここにはいない。
圭介がいたから、私はここにいるんだって
どうか、忘れないで。